加藤マンヤ展「FRICTION」

加藤マンヤ展「FRICTION」

謹んで新年のお喜びを申し上げます。
今年も変わらぬご厚情のほど、よろしくお願い申し上げます。

2011年最初の企画展は2008年8月のマサヨシ・スズキ・ギャラリーのオープニング以来、当ギャラリーでは2回目となる加藤マンヤの個展を開催いたします。
 これまで加藤は「常識ではなく単なる思い込みかも知れない」という事象を示す事で、モノの価値を新しく転換させ、その事によって新しい意識が生まれる事を目論んだ作品制作を数多く見せてきました。 しかし今回の展覧会では、少し方向性を変え、あえて曖昧なまま、答えを明確にせず、ただ単純に作品の中に隠されたコンセプトを読み解くだけでなく、 言語を越えた感覚の要素でもって「靄(もや)の向こうを射抜く」という構造を含んだ作品制作にシフトしています。
 それは、コンセプトが単純明快だった今迄の加藤マンヤのスタンスの逆をいく構造でもあり、もっと端的に言うなら「解が分かる」だけではアートではなく、 曖昧にすら見える靄の向こう側に深淵な意識が漂っていなければならないと作家が強く感じた結果であるように思います。
 解を解く面白さだけではなく作家の生き様や彫刻本来の持つアートの本質を見据えた、作品制作に挑む新しい加藤マンヤの展覧会「FRICTION」を是非、 ご高覧頂きますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

2011年 元旦 鈴木正義